アジア各国も削減手段を模索
世界最大の炭素排出国、中国が全国的な排出量取引制度を始めた。上海環境能源交易所で7月16日に始まり、約16万㌧の排出量が790万元(約1.3億円)で取引された。現地メディアの第一財経は、5年後に市場の取引高は年間70億㌧、市場価値で6千億元になる可能性があると報じた。中国の排出量取引制度は年間約40億㌧を排出する発電事業者2千社超を対象にしているため、カバーする排出量で世界最大となった。EUの排出量取引制度が対象としている年間排出量は約20億㌧。中国ではセメントや鉄鋼など、排出量の多い他業界も25年までには制度の対象になるとみられる。しかし、EUが排出量の数値に上限をもうけているのに対し、中国の制度は割合に基づく。つまり、発電量が増えれば排出上限量は増える可能性がある。多くの専門家も取引価格が着実に上昇するとみている。北京に本拠を置くコンサルタント、チャイナ・カーボン・フォーラムが行った中国の専門家と市場参加者への調査では、排出量取引は1㌧49元で始まり、50年までに約167元まで上昇すると予測していた。ただ、調査は中国が排出量実質ゼロ目標を発表する前だった。アジアで同内容取引制度を設けたのはインドネシア・ベトナムの環境保護法、タイやフィリピンでも検討されている。日本は全国的な排出量取引制度はないが、新しい炭素価格制度を導入する計画だ。炭素排出量の取引制度になるか、炭素税などになる可能性もある。