民間の役割重要に
COP26では産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑える「1.5℃目標」と、石炭火力発電を減らす方向性の確認を合意文書に盛り込んだ。新型コロナウィルス感染拡大のため開催が1年延期になったのを逆手にとり、議長国の英国が各国を説得して回った成果といえる。国別の削減目標を細かく点検すると、あらも見えてくる。現在の排出量を2050年ごろにゼロにするには30年前後に半減するペースで減らし続けなければならないが、各国政府の計画ではそこまで減らないケースが多い。後から急減させなければならず、難度が増す。この先10年程度が、まさに「勝負の時」だと言える。英国などの主導で期限を決めて石炭火力や、化石燃料を使うエンジン車の廃止を目指す有志連合などが相次ぎ発足したのは、排出削減目標の前倒しに役立つ。だが、大切なのは、これらに参加しない国々の削減も加速することだ。国際競争にさらされ脱炭素への変革を迫られる企業や投資家が、政策転換の原動力となる場面が増えるだろう。