石炭投資減でガス高値
脱炭素への急激なシフトにより物価上昇が進んでいる。二酸化炭素排出量が少ない天然ガスは需要が伸び、過去最高値を記録。電力価格の上昇で非鉄金属の供給が鈍り、アルミニウムは一時13年ぶり高値を付けた。中長期的に非鉄は電気自動車などで需要が増え、この先も高止まりしそう。世界は温暖化防止と、脱炭素が引き起こす物価上昇「グリーンフレーション」の抑制という課題に直面している。
アルミ4割高
ガス高は非鉄価格の上昇にもつながっている。ロンドン金融取引所のアルミ3ヶ月先物は足元で1㌧2800㌦台と、20年末比で4割高い水準。10月中旬には一時3200㌦台と08年以来の高値を記録。銅も2割、亜鉛も3割高い。ガス高によって電力価格が上昇し、生産時に大量の電力を消費する非鉄の生産コストが増加し、非鉄大手が生産停滞に追い込まれている。秋以降、オランダのアルデルがアルミ、ベルギーのニルスターやスイスのグレンコアが亜鉛で一部の製錬所の稼働停止を発表している。さらに脱炭素の流れで需要が増えている電気自動車では、車体の軽量化にアルミが多く使われている。モーターに使われている銅はエンジン車の4倍も使われているという。風力発電でも配線やモーターに銅が大量に用いられており、こうした需要増も価格を押し上げている。