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炭素会計「新興国にも好例」

炭素会計の可視化新興国にも好例

炭素会計で企業は温暖化ガス(GHG)排出量を算出し、制御することが求められている。企業は目に見えないGHG排出量を一定基準で見える化し、減らしていかなければならない。手法は様々だが、世界の大企業は国際基準「GHGプロトコル」を参考にする。排出量をスコープ1から3の三つに区分けして算出する。スコープ1は自社の事業から直接排出されるもの、スコープ2は自社が使う電気から出るものだ。スコープ3は自社のサプライチェーンから排出されるものが対象となる。大企業はステークホルダーの排出量にも責任を持つべきだ、との考え方がスコープ3の基本だ。大企業との取引は、投資家の目にさらされない中小などの非上場企業が排出削減を進める動機づけにもなる。だた、スコープ3は把握すべき範囲が曖昧で、算定が非常に難しい。例えば鉄鋼業は原料となる鉄鉱石や石炭の採掘時に出たガス量をどう調べるのか。取引先にデータがあるかもわからず、収集には大きなコストや労力がかかる。しかし、あらゆる情報の開示に世界の流れは義務化と正確性の確保へと向かっている。欧州は早くから義務化した。慎重だった米国も米証券取引委員会が23年に義務化。日本は21年のコーポレートガバナンス改訂で開示がもとめられるようになった。ASEANは欧州のように、持続可能な社会に貢献する経済活動をリスト化する「タクソミー」も先行して導入している。日本は欧米だけでなく、新興国も含めた世界全体から最善の手法を学び、実践するべきだ。資金やデータ整備の面では政府支援も不可欠だ。

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