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COP27開幕

30年排出減目標上積み進まず

ロシアのウクライナ侵攻で世界の分断は深まり、エネルギー価格高騰で各国の内向き志向は強まる。2030年の温暖化ガスの排出削減目標の積み上げはこの1年間でほとんど進まずに5億㌧にとどまり、削減ペースの加速に向けて各国が協調できるかが問われる。昨年のCOP26は目標が不十分な途上国を念頭に削減幅を積み上げるよう各国に要請し閉幕した。ただ22年2月のロシアのウクライナ侵攻で流れがかわる。エネルギー価格高騰と供給不安を招き、各国は確保に奔走した。石炭などの化石燃料への回帰もみられ、地球環境よりも自国優先の動きが目立った。国連環境計画によると昨年以降、排出削減目標の上積みは世界で5億㌧にとどまった。パリ協定の目標を達成するには30年までに230億㌧を減らす必要がある。削減幅は目標に遠く及ばない状況のうえ、足元の各国エネルギー危機などで各国の削減計画が順調に進むかも見通せない。今年に入り、パキスタンでは大規模な洪水が発生、欧州では記録的な熱波が襲った。米国ではハリケーン「イアン」が多数の死傷者と被害者をうみ、日本では局地的な豪雨が恒常化しつつある。自国優先のエネ安保を超え、待ったなしの気候変動対策に一致して取り組めるかが重要になる。

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