G7環境相会合の議長声明原案
主要7ヵ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合の議長声明の原案がわかった。2035年の温暖化ガスの削減目標を「1.5度目標と整合する」よう記した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は35年に19年比60%減が必要とみる。各国の目標はこの削減幅が軸になる。
石炭火力全廃 時期巡り温度差
温暖化の国際枠組み「パリ協定」は、産業革命よりも地球の気温上昇を1.5度以内にする目標を掲げている。各国は30年時点の削減目標を既に公表している。協定ルールに基づき、各国は25年までに国連に35年目標を提出することが決まっている。閣僚会合は15日~16日に札幌で開催する。声明の原案では「1.5度に整合するように他国にも呼びかける」と言及した。IPCCは3月に公表した報告書に19年比60%減らす必要があると記した。日本の目標は30年度に13年度比46%減で、60%削減はハードルが高いが、今後の検討の軸に据える見通しだ。G7では温暖化ガスの排出量の多い石炭火力の廃止時期が大きな争点になっている。ドイツはG7の議長国だった22年に、国内の石炭火力を30年までに全廃すると声明に盛り込むと各国に打診した。日本が反発し、見送られた経緯がある。今回の閣僚会合の声明原案では廃止時期は明記しなかった。英国とフランスは明示を求めている。さらに「全ての化石燃料を将来的に全廃する」といった文言の追加も要求している。今回の原案からは、22年のドイツがまとめた声明を踏襲することで、そこからさらに踏み込むのに慎重な日本の姿勢がにじむ。議長国である日本に対し、欧州を中心に脱炭素の加速を求める構図になっている。産業界からも議長国の日本が脱炭素で主導的な役割を果たすように求める声が出ている。武田薬品工業や三井不動産など国内の230社超が集まる日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCJP)は、パリ協定に整合しない石炭火力の早期のフェーズアウトを求める。※株式会社シェノンはJCLPの賛助会員として弊社装置を通し、脱炭素化に寄与していきます。