天然ガスは一部容認
G7は20日発表した首脳宣言で石炭だけでなく石油や天然ガスを含めた化石燃料全般について段階的に廃止していくことで合意した。これまでの首脳宣言では対象を石炭にとどめていた。石炭よりもCO₂の排出が少ない天然ガスについては投資を一部容認した。温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電所の廃止期限は明示しなかった。経済成長で中長期的にエネルギーの供給不足に陥りかねない新興国に配慮した。同時に温暖化ガスを抑制していくうえで「すべての経済大国が果たす重要な役割を認識する」とも盛り込み、G7以外の取組みを促した。CO₂の排出を減らすために排ガスなどからCO₂を回収して利用・貯留するといった対策を講じているものは段階的削減の対象外とした。再生可能エネルギーの導入目標も明記した。7ヵ国合わせた太陽光発電の導入量を2030年までに10億㌔㍗以上と、現状の3倍強に伸ばす。洋上風力発電は30年までに7ヵ国で1.5億㌔㍗増やすとした。21年実績からおよそ8倍になる。G7としての再エネ導入目標は4月のG7気候・エネルギー・気候相会合で初めて言及されたもので、首脳レベルでの合意に格上げした。ウクライナ侵攻を踏まえ、ロシア産エネルギーからの脱却を加速する必要性も明記した。「ロシアの戦争によるエネルギー供給、ガス価格やインフレ、人々の生活への世界的な影響に対処することが必要だ」と記した。
石炭火力、廃止時期示さず
日本の電源構成は19年度時点で石炭が31%、天然ガスが37%、石油が6%と、4分の3を化石燃料が占める。これから段階的に海外依存を減らす取組みとして再エネや原発の普及度合いが焦点になる。温暖化ガスの排出量はG7を合わせても世界の2割に過ぎない。本来ならG7が旗振り役になって新興国や途上国の取組みを後押ししなければ、50年のカーボンニュートラル実現の道のりは遠のく。首脳宣言とは別に「G7クリーン・エネルギー経済行動計画」もまとめた。再エネ拡大に欠かせない重要鉱物を安定的に調達するため、G7や新興国との連携を通じたサプライチェーンの強化を打ち出した。供給網の多角化に向け、途上国などの脱炭素化を支援する方針も盛った。※私たちが製造販売するHCGは従来の処理方法に比べ約95%以上の炭素抑制効果を発揮します。