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気候変動開示、強まる監視

不十分で取締役選任反対

議決権行使助言会社や投資家が、日本企業の気候変動対策への監視を強めている。米インステューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)や米グラスルイスが助言方針を改定し、気候変動開示が不十分な企業の取締役選任に反対推奨する。運用会社などでも同様の改定が相次いでおり、6月総会で火種となりかねない。ISSは企業に気候変動対応を求める投資家団体「クライメート・アクション100プラス」により選定された企業を対象にする。選定企業が気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)などに従って気候変動リスク情報を適切に開示していると見なしていない場合、取締役の選任に反対することを推奨する。クライメート・アクション100プラスは温暖化ガス排出量の多い企業に、排出削減や情報開示などを働きかけている。同団体にはTOYOTA、日本製鉄、ENEOS、日立製作所、など現在10社の日本企業が選定されている。ISSは2023年2月以降に開催する株主総会からこうした企業に対し、自社の排出を示す「スコープ1」、電力などエネルギー調達に関わる「スコープ2」の大部分の温暖化ガス排出量の中期的な削減目標か、2050年までのネットゼロ(実質ゼロ)目標の開示を求める。グラスルイスも同様の改定を行なった。気候変動に関する情報開示について責任を負うべき取締役の選任案に反対推奨する。当初はクライメート・アクション100プラスの選定企業が対象だが、「今後対象が拡大する可能性は十分にある」という。企業に気候変動関連の開示を求める動きは、国内外の機関投資家でも強まっている。日興アセットマネジメントは23年から取締役選任に関する議決権行使基準に、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に整合する中長期の排出削減目標の設定や実現に向けたロードマップ策定・実施などの項目を盛り込んだ。これまでも気候変動に関する取組みについての基準はあったが、さらに踏み込んだ。アセットマネジメントOneは取引先など供給網全体の温暖化ガス排出量を含めた温暖化ガスの排出削減などについて、具体的な計画策定や開示を求めるように改定した。6月に本格化する企業の株主総会でも企業と投資家の対立が焦点になりそうだ。オランダで公的年金を運用するAPGアセットマネジメントなど3社は共同で、TOYOTAの気候変動関連開示で、温暖化ガスの排出削減にどう寄与しているかなどをまとめた報告書の作成を定款に取り込むよう求めた。仏アムンディなども昨年に続きJパワーに対して脱炭素の加速を求める定款変更の株主提案を出した。TOYOTAは提案に対し「開示の在り方は適時に変化させていく必要がある」とした上で、「定款には個別具体的な業務執行に関する事項は規定せず、現行の定款を維持したい」と反対した。欧州では株主提案が拒否された後、訴訟となる例もあり、今後の企業の開示や行動に影響を与える可能性が高まっている。

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