CO₂排出量多い国からの鉄鋼輸入
米政府が欧州連合(EU)に二酸化炭素排出量が多い国からの鉄鋼・アルミニウムの輸入に共同で高関税を課す仕組みを提案している。過剰生産を続ける中国を念頭に置く。EUは慎重な加盟国との調整を進める。バイデン米大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長らは20日にワシントンで首脳会談を開く予定だ。新しい枠組みも議題になる。米政府は鉄鋼・アルミ生産で生じるCO₂の排出量が多い国に、各国が協調して関税障壁を設ける制度を検討している。脱炭素化を進めるという旗印のもと、世界市場を席巻する安価な中国製品依存の脱却をはかる。実現すれば米以外にも参加国を募る。閣僚級協議を通じてEU側に検討を求めてきた。世界の鉄鋼生産のうち、中国は5割超を占める。設備過剰だけではなく、環境対策が整っていない製鉄所があるとの指摘がある。米国は中国製に反ダンピング(不当廉売)関税などを使い排除を進めてきた。米商務省によると22年の輸入に占める割合は2%程だ。EUはおよそ9%と前年から2倍超に増えた。EUの執行機関である欧州委員会は、米国に歩調を合わせるため、中国の鉄鋼・アルミ製品に対する調査ができないか水面下で検討している。中国政府による鉄鋼メーカーなどへの補助金支援が、欧州市場での競争を不当にゆがめているとの理由からだ。欧州委員会はすでに同様の懸念から中国製の電気自動車への反補助金調査を開始した。中国製の風力電タービンに関する調査も視野に入れる。EUには調査の結果、問題が認められれば制裁関税を課せる規則がある。