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脱炭素の「補助輪」空回り

排出権価格9割安

温暖化ガスの排出削減分を売買する排出量取引が成長の壁にぶち当たっている。航空会社やエネルギー企業などが削減目標の達成に使う民間のカーボン・クレジットを巡って疑惑が浮上し、買い手が減った。先物価格は高値から9割安に沈む。脱炭素推進の「補助輪」として期待されていただけに影響は大きい。排出量取引には2種類ある。欧州連合など公的機関が主導する取引と事業会社が発行する民間クレジットの売買だ。法規制で自社の事業所に排出量上限を設けられた場合、公的な「排出枠」を購入して超過分を相殺する。一部の企業は法規制とは別に自主的な削減目標を立てており、その達成には民間クレジットを使う。シェルなど大手の間で民間クレジットの購入を控える動きが相次ぐ。需要減観測からシカゴ・マーカンタイル取引所で売買される先物価格が急落した。企業が民間クレジットの購入を控える背景に、温暖化ガス削減効果への疑念がある。民間クレジットの主流は森林保全など自然由来のものだ。クレジット開発者が森林保護などによる「排出削減への貢献」を申請し、民間認証機関が認定すればクレジットとして販売できる。22年の民間市場の取引総額は19億㌦(約2700億円)で公的な排出取引の1%に満たない。それでも公的な仕組みを補完するものとして期待されている。パリ協定は気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げるが、現状の温暖化ガス削減ペースでは厳しい。目標達成には安価で購入しやすい民間クレジットの活用が不可欠との見方は多い。ただ疑惑の浮上で企業は民間クレジットを使いにくくなった。環境団体の間では「クレジットによる相殺に頼らず自社でCO₂の排出量を削減するのが本筋」との意見が根強い。

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