10年債8000億円 最高利回り0.74%
財務省は14日、脱炭素資金を調達する「GX経済移行債」の10年債入札を始めて実施した。環境への貢献度の高さを重視して利回りが低くなる「グリーニアム」は発生したが市場の予想ほどにはならず、過熱感のない滑り出しとなった。最高落札利回りは0.740%と、流通市場における通常国債の利回りを0.005%下回った。「緑のプレミアム」ともいえるグリーニアムは入札結果が出る直前の市場予想(0.06%)には届かなかった。高値で応募する金融機関が少なかったことを意味する。GX経済移行債は2050年の温暖化ガスの排出実質ゼロの実現に向け、政府が企業の脱炭素の取り組みを支援する資金を調達するため発行する新しい国債だ。23年度は総額1.6兆円を発行し、10年間で20兆円規模の発行を予定する。林芳正官房長官は14日の記者会見で「関係省庁からは入札結果などを総合的に見て幅広い投資家から一定の理解は得られたのではないかと聞いている」と述べた。今回は発行予定額8000億円に対し、金融機関から2兆3271億円の応札があった。14日は発行規模が小さく、流動性の低下への懸念があったとみられる。13日発表の1月の米消費者物価指数が市場予想を上回り、米国の長期金利が23年12月以来の高水準を付けた。国内でも金利が一段と上昇すればGX債の価格が下落し含み損を抱えかねないため、積極的な購入が限られた面もある。今回のGX債の購入に動いたのは日本生命保険やかんぽ生命保険など、国内の主要投資家が中心のようだ。