経産省、省エネ半導体など
経済産業省は蓄電池など脱炭素分野のスタートアップを対象に、研究開発から設備投資まで必要な資金を支援する。現在は研究開発の補助金にとどまり、事業拡大する段階で資金が不足しがちがった。5年間で2千億円を確保し、日本企業の競争力の底上げを狙う。経産省傘下の新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)がスタートアップの設備投資などを支援できるようにする。今国会でNEDO法の改正を目指す。設備投資額の2分の1、最大50億円の補助を検討する。財源には政府のGX経済移行債を使い、複数年にわたる予算を確保する。支援対象として電気自動車やドローンなどで使う大容量の次世代型リチウムイオン電池や、電力損失を大幅に抑制できる半導体といった革新的な技術をもつスタートアップを想定する。開発に目処がついた有望な技術を設備投資まで一貫して支える。事業化にあたり、脱炭素に積極的な企業の枠組み「GXリーグ」の参加企業との連携を後押しする。スタートアップが開発した製品やサービスが市場ニーズと合致するよう実用化を手助けする。日本は研究開発で海外に潜行しても量産化で追い越され、ビジネスで不利になる例が多い。特に最先端の技術は開発が長期に及んだり投資額が膨らんだりして実績の乏しい企業が十分な資金を確保するのは難しい。米国ではベンチャーキャピタルが有望なスタートアップを発掘し、資金調達を通じて事業化を支援する環境が整っている。米調査会社クリーンテック・グループが脱炭素分野で選んだ2024年の革新的なスタートアップ100社を国別でみると、米国が42社と最も多い。建物のエネルギー効率を高める空調用ダクトシールや蓄電池のリサイクル技術を開発する新興企業が名を連ねる。アジア太平洋からはオーストラリアや中国などの企業が入ったが、日本からは1社も選ばれていない。