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サステナ開示元年 

欧州先行、日本は基準確定へ

世界各地でサステナビリティー情報開示の制度化が進んでいる。欧州ではESG(環境・社会・企業統治)の全範囲に及ぶ新しい開示制度が2024年度分から始まる。3月には米国で気候関連開示の最終規則が固まり、日本でも開示基準の草案が公表された。日本の開示基準は24年度末までに確定版が出る見込み。企業は開示準備が待ったなしになっている。欧州連合(EU)の新たなサステナビリティー開示制度「企業サステナビリティー報告指令(CSRD)」は、域内各国が開示規制を作る大元の指令だ。具体的な開示要求は欧州サステナビリティー報告基準(ESRS)で定め、24年度から開示が始まる。欧州の開示は投資家だけでなく、労働者や消費者など多様なステークホルダーに向けた開示を意図し、テーマも幅広い。環境分野は気候変動や生物多様性など、社会分野は自社従業員やバリューチェーン上の労働者、消費者などに及ぶ。日本企業も人ごとではいられない。EU域内で一定規模以上のビジネスを手がけている場合は域外企業でも開示が求められるためだ。総資産や売上高、従業員数などで決まり、該当する欧州子会社は遅くとも25年度分から開示が求められ、28年度分からは親会社の連結ベースでの開示が必要になる。

米国はスコープ3を削除

米証券取引委員会(SEC)は3月に気候関連開示の最終規則を公表した。温暖化ガス排出量の開示は自社拠点からの直接排出量「スコープ1」、自社拠点におけるエネルギー使用に伴う間接排出量「スコープ2」を求める。当初案には調達原料や製品使用など社外の供給網上での排出量「スコープ3」もあったが、経済界などの反発が強く最終的に除かれた。スコープ1、2に関しても開示を強制することを問題視する声は多く、規則公表後に差し止めを求める訴訟が起きた。SECは規則の施行の一時停止を余儀なくされている。日本でもサステナ開示基準の草案が3月末に公表された。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が作ったグローバル基準をベースに開発した。日本では23年3月期の有価証券報告書からサステナ開示が求められるようになったが、一部の人的資本の情報以外は何をどのように開示するかは企業に委ねられていた。SSBJ基準は今後有報に組み込まれ、情報の比較可能性が高まる。SSBJの気候関連開示基準はISSBと同様、温暖化ガス排出量としてスコープ1〜3を求める。ただいくつか違いがあり、例えばSSBJ基準ではスコープ1〜3の各量のほかに合計値も開示が必要だ。スコープ3は15あるカテゴリー別の開示を求める。25年3月末までに最終化する。

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