途上国支援拡充も焦点
地球温暖化対策を議論する第27回国連気候変動枠組み条約国会議が11月6日にエジプトで開幕する。世界の脱炭素に向けて必要な投資について民間資金の活用拡大を検討する。先進国による途上国の脱炭素支援の金額上積みも議題となるが、ウクライナ危機を背景とした資源高が自国経済に響く先進国は巨額の支援に及び腰で、交渉は難航しそうだ。COP27には国連気候変動枠組み条約に加盟する約200国・地域が参加する。会期は11月18日までを予定し、7~8日には各国首脳が集まる「リーダーズサミット」を開き、バイデン米大統領が出席するとみられ合意に向け14日から担当閣僚らが詰めの議論をする。昨年のCOP26は環境対策で先行する英国が議長国で、新興国などが反発する中で石炭火力発電所の削減議論を主導した。COP27でも先進国側は2030年までの温暖化ガス削減の作業計画を閣僚会合でまとめる意向だ。中国やインドなどにも脱炭素を進めさせたい思惑がある。ただアフリカで開く今回は途上国への支援を求める圧力が強まる。ESGの観点で脱炭素を後押ししてきた金融関連でも動きがある。企業が開示すべき脱炭素計画の基準を、世界の金融機関約500社が参加するグラスコー金融同盟が打ち出す。今夏も世界が異常気象に見舞われる中、温暖化ガスの削減が待ったなしなのは共通の理解になっている。ロシアのウクライナ侵攻で情勢は変わり、脱炭素に加え足元のエネルギー危機も喫緊の課題になった。双方の危機を乗り越えられる実施的な議論が求められる