民間と協調を
第28回国連気候変動枠組み条約国会議(COP28)の議長を務めるアラブ首長国連邦(UAE)のスルダン・ジャベル氏は日本経済新聞の書面取材に応じた。官民による気候変動対策資金が必要だとし、民間部門を巻き込んだ対応を進める姿勢を示した。COP28は11月~12月にUAEで開催される。ジャベル氏は産業革命よりも地球の気温上昇を1.5度以内にするとしたパリ協定について「進むべき方向を示した」とし、「今度は我々が道を設計し、資金を調達しなければならない」と強調した。「気候変動対策を環境問題としてだけでなく経済問題として捉え、すべての人が雇用や成長という利益を享受できるようにする」と主張した。そのうえで、「気候変動対策には数兆㌦の資金が必要だ」と指摘。「支援を引き出すため、民間部門を全面的に巻き込んだ協調的な行動が必要だ」とした。途上国などが気候変動対策資金を適切に調達できるよう「世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの抜本的な改革が必要だと」訴えた。国連は資金の出し手や支援を受ける国など、基金の制度設計に着手した。COP28までに議論をまとめる目標だ。ジャベル氏は「途上国の多くは早い時期から気候変動の深刻な影響に直面しており、支援を加速させなければならない」と指摘。グローバルサウスを含む全ての国を「置き去りにしない」と強調した。COP28で日本に期待する役割については「1997年のCOP3で採択された京都議定書で、日本が気候変動対策の推進で重要な役割を果たしたと認識している」と指摘。京都議定書が世界的な気候変動に対する取組みの象徴だったとし、「パリ協定の目標達成にはすべての締結国が議論の席に着く必要があり、そのためには日本が必要だ」とした。