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地球沸騰 生産性に影

世界の7月気温、観測史上最高 30年に350兆円損失

世界が高温にさらされている。世界の7月の気温は観測史上最高となり、日本はこの100年あまりで最も暑かった。異常な暑さは屋外での労働者を難しくするなどして労働生産性に影を落とす。国際労働機関(ILO)は熱ストレスで2030年に350兆円の経済損失が出るとはじく。

異常気象が日常に

「温暖化の時代ではなく、地球沸騰化となった」7月27日、国連のグテレス事務総長は世界を覆う熱波にこう言及した。世界気象機関(WMO)によると7月の世界気温は」12万年ぶりの暑さだった。米国カリフォルニア州のデスバレーでは7月中旬に54度を記録した。ギリシャの観光地は熱中症で倒れる人が相次いだため、遺跡を日中に閉鎖した。東京ディズニーランドでも一部パレードなどが中止になった。WMOは温暖化に伴う極端な気象現象の発生は「残念ながら新しい普通のこと(ニューノーマル)」になりつつあると警告する。米国ロックフェラー財団系のNPOは熱波の影響により、米国だけで経済損失が30年までに約28兆円に上り、50年までに約72兆円に達するとみる。農作物やインフラにも大きな損害が出るほか、暑さで労働力が失われると分析しているILOは5月に開いた国際会議で熱波の危険性を報告した。熱波により日中に労働が出来なくなるなどする時間が30年にフルタイムで働く8000万人に当たる労働力を失う可能性があると分析した。経済損失は2兆4千億㌦に上るとした。農業やサービス業、建設現場などでは暑くて働けなくなる。運輸業や観光業、空調が不十分な工場でも効率は落ちる。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は産業革命からの地球気象上昇を2度未満に抑え、出来れば1.5度を達成するシナリオに基づく試算で、30年時点で2.2%の労働力が減る。南アジア(5.3%)や西アフリカ(4.8%)、東南アジア(3.7%)は平均を上回る。農業への影響は深刻だ。英国シンクタンクによると45年までに世界の食糧生産の70%が熱ストレスによるリスクにより収穫量が著しく落ちる。暑さでは農業労働者が屋外で働けなくなることが主な原因で、中国やインド、ブラジル、米国などの主要生産国が大きな影響を受けるという。食料の供給が減り、価格につながるリスクがある。感染症も拡大する。世界保健機関(WHO)によるとデング熱の感染例は世界で00年の約50万件から22年の420万件と8倍に増えているという。気温上昇を抑えるため温暖化ガスの削減などを議論するCOP28は11月UAEで開催される。COPで有効な対策を打ち出せるかが焦点となる。

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