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不可逆のスコープ3開示

スコープ3開示の厳格化

サプライチェーンまで含めた温暖化ガスの排出量を指す「スコープ3」。世界で急速に進むとみられた開示への動きがやや足踏みしているようにみえる。ESG開示ルールを策定している国際サスティナビリティ基準審議会(ISSB)は、経過措置として企業に課すスコープ3の開示を、開示適用時期がきてからも1年猶予する。データ収集の手間や複雑さなどに配慮したという。同じくスコープ3の扱いが注目される米証券取引委員会(SEC)の気候変動リスク開示ルールは発表が秋にずれ込むとの見方がある。企業や議員の賛否が相半ばし、調整に時間がかかるとみられる。日本企業は、欧米の開示の進捗を固唾をのんで見守っている。「うちは非上場会社だけれど、開示に備える必要はないのか」最近、部品メーカーの多い大阪でこんな不安の声を聞いた。大手企業が開示を始めると、下請けなど取引企業も大量且つ詳細なデータ算出を迫られるのではないか、と身構える。現状では国内で15の活動がスコープ3に該当する。部品の製造や輸送は容易に想像できるが、従業員の通勤や出張に伴う排出量まで含まれる。商品の販売先が使用し、廃棄したときの排出量から、フランチャイズ加盟店の排出量まで対象だ。連結や系列を超え隅々に網がかかっている。大手がスコープ3削減を進めると、部品メーカーは電力を再生可能エネルギーに切替える努力を迫られ、コストは増えないか。増えたコストは納入価格に上乗せできるのか。心配の種は尽きない。排出量の大半を占めるスコープ3の開示は実現すれば世界の環境対策には大きな前進だ。ところが、企業にとっては膨大な作業が予想され「ルールができたから直ちに開示する」という簡単な話でもない。一方でスコープ3開示は停滞しているようにみえても、世界の環境対策は裾野を広げながら厳格化し、「数値を示せ」と迫っている。例えば、欧州では一般消費者向け商品にグリーンを装う行為に厳しい規制が導入される。「蜂に優しいジュース」「リサイクルしたプラスチックを30%使ったパッケージ」。製品の広告でこうしたうたい文句は安易に使えなくなる。欧州連合は3月に発表した「グリーンクレーム指令」案では、消費者保護の観点から企業はデータなどを使って広告の根拠を示す義務を負う。そもそも環境対策の出発点は数値にある。「地球の気温上昇を1.5度以内にする」「2050年に実質ゼロエミッションを達成する」。いずれも数値目標だから、実現を目指す政府も企業も、目に見える形で排出量の削減を進める。スコープ3開示は企業の負担増加というジレンマを抱えるとはいえ、効果への期待の高さを考えると、曲折があっても確実に押し寄せてくる。準備の手を緩めることはできないだろう。※私たちは製品を通じ、外注委託から自己完結型できる仕組みを提案します

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