北欧年金 移行中でも投資対象に
北欧フィンランドの年金大手イルマリネンは13日、脱炭素への移行を進める日本企業を対象にした上場投資信託(ETF)に約7億5000万€(約1,100億円)を投資したと発表した。温暖化ガスの排出量が現時点で多い企業でも、今後の脱炭素に向けた取組みが期待される場合は投資マネーを呼び込む機会が広がる。イルマリネンは約575億€の運用資産残高を持ち、気候変動対応を進める世界の企業に積極的に投資してきた。このほど資金を投じたのは、ブラックロックが8日に上場した指数連動型の「iシェアーズMSCIジャパン気候変動アクションETF」同ETFは、約230社が対象の「MSCIジャパン指数」の構成銘柄から、不祥事リスクが高かったりたばこを吸っていたりする銘柄を除く約110社に投資する。足元の温暖化ガス排出量が多くても、今後の脱炭素に向けた明確な経営方針を掲げていたり、排出削減に寄与する製品・サービスの収益が多かったりする企業も投資の対象とする。東京証券取引所によると、国内の上場株に投資するESG関連のETFは全部で12本。純資産残高が数十億円規模のものが多いなか、iシェアーズ、MSCIジャパン気候変動アクションETFの純資産残高は12日時点で約1,220億円と、国内のESG関連ETFで最大だ。ESG投資では、排出量の多い企業から投資を引き揚げるダイベストメント(投資撤退)が長く主流となってきた。エネルギー価格の高騰などで、投資や対話を通じて、段階的に温暖化ガスの排出を減らし脱炭素に移行させる動きが活発になっている。