国際ルール、来年適用
ESG(環境・社会・企業統治)分野に於ける企業の開示ルール策定を担う国際サスティナビリティ基準審議会(ISSB)は16日、新たな気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めた。各国で基準採用が進めば温暖化ガス排出量などの開示が広がり、投資家は企業の脱炭素の取組みを比較しやすくなる。日本ではISSBの基準をベースに国内基準を24年度中に作る。ISSBは22年3月に気候変動の開示基準案をまとめていた。今回、24年1月1日以降に始まる事業年度から基準を適用すると決めた。実際に企業の開示が始まるのは25年からになる。開示基準は今年6月までに最終決定する方針だ。ISSBの基準の特徴は定量情報を充実させた点にある。企業に温暖化ガスの排出量や、温暖化ガスを金額換算する「内部炭素価格」などの開示を求める。排出量は取引先の分まで開示対象だ。基準採用は各国の判断に委ねられ、英国やシンガポールなどは採用方針を示した。日本は丸のみせず基準を参照した国内基準を開発るす。策定を担うサスティナビリティ基準委員会(SSBJ)は24年3月末までに公開草案をまとめ、25年3月末までに決定する方針だ。企業には「具体的な制度設計について情報を得ながら、引き続き適切な対応に務めていく」と備える動きが広がっている。