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「脱炭素電源」応札、蓄電池が6割 水素支援に課題

「脱炭素電源」応札、蓄電池が6割 水素支援に課題

将来の電力供給能力を確保するための「長期脱炭素電源オークション」制度が動き出した。初回の入札では蓄電池に応札が集中し、全体の6割を占めた。蓄電池は再生可能エネルギーの有効活用に寄与するため一定の成果を出したといえる。ただ、蓄電池はそれ自体が電力を生むわけではない。今後は水素発電など、今回は応札が低調だった事業者も使いやすい仕組みを検討する必要がある。

20年で1.5億㌔㍗を置き換え

化石燃料を使う国内の電源はおよそ1.5億キロワット。全体の7割を占めるが、自由化や脱炭素の流れで逆風に直面している。放っておけば電力不足になりかねない。脱炭素電源に転換しつつ発電容量を確保するための仕組みが長期脱炭素電源オークションだ「初回ながら応募もしっかりあり、必要量の電源を確保できた」と広域機関の担当者は最初の入札を総括する。1月に実施した結果を4月末に公表した。脱炭素電源の募集量は400万キロワット。足元の火力の置き換えを考えると今後20年にわたり年平均600万キロワット超の新設・改修が求められるなかでは「スモールスタート」だ。企業は支援を得たい発電所の建設費や人件費などから発電容量1キロワットあたりの固定費を計算して応札。およそ780万キロワットが集まった。

太陽光・風力はゼロ

応札量が突出して多かったのが蓄電池だ。455万キロワットと全体の6割弱を占めた。揚水発電との合計で100万キロワットを募集上限に設定していたが、他の電源への応札が少ない場合に余剰を割り当てる仕組みが発動され、結果的には109万キロワットが約定された。揚水の落札量と合わせると166万キロワット。上限の1.6倍だ。国内の電力制度に詳しいKPMG FASの鵜飼成典執行役員パートナーは「事業モデルが未成熟な蓄電池の普及に先鞭(せんべん)をつけた」と結果を前向きに評価する。系統全体で蓄電池の導入量が増えれば、天候や時間帯によって発電量が大きく変わる再生エネ由来の電力をためやすくなるため、再生エネの導入拡大につながる。火力発電所を改修して燃料を段階的に切り替える「水素(改修)」や「アンモニア(改修)」はふるわなかった。こちらも募集上限は合計100万キロワットだったが応札は合計でJERAの碧南火力発電所(愛知県)などの82万キロワットにとどまった。太陽光や一般水力、風力は応札自体がなかった。入札の最低容量が10万キロワットと、再生可能エネルギーを使う発電所では大規模となる水準に設定された影響が大きいとみられる。市場価格に連動して補助金を上乗せする「FIP」などの支援枠組みが既にあるなか、収益の一部返還義務といった長期脱炭素電源オークション制度特有の仕組みをリスクと捉えた事例もありそうだ。全電源の平均落札価格は1キロワット当たり5.8万円だった。電源別に上限額が設定され、最も高いもので10万円としていた。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が応札で示されたコスト計算を検証し、建設費や人件費の内訳まで細かく修正を求めたこともあり「資機材が高騰するなかでコスト抑制努力が反映された」

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