国交省が新制度 ESG投資呼び込む
国土交通省は港湾の脱炭素化を巡り、管理者らの取組みを評価する認証制度を創設する。積み荷の揚げ降ろしや船舶への燃料供給に関する設備状況を評価し、レベル分けして認証する。世界で広がるESG投資を呼び込む。2023年度中に試験運用を始める。政府は50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標をかかげ、日本の貿易量の99%が経由する港湾の脱炭素を重視する。国内に全125カ所ある主要港湾のうち、60カ所超が脱炭素の事業計画策定に取り組む。新たな認証制度で事業計画を後押しする。港湾のCO₂排出量の算定に使うデータの公表、ターミナルで使用する低炭素型の荷役機械の比率、証明の発光ダイオード(LED)化率などを評価項目とする。港湾を出入りする船舶の燃料についても、液化天然ガス(LNG)といった低炭素燃料を供給できる機能の有無を評価する。第三者機関がこれらを総合評価して「プラチナ」「シルバー」など4段階ほどに分けて認証する方向だ。試験運用を通じて評価手法に関する改善点を洗い出す。24年度以降の本格運用をめざす。ESG投資が広がるなか、港湾の脱炭素化はビジネス面でも意義が大きい。荷主となる大手メーカーや小売業者は物流面での環境負荷低減にも力を入れ、船舶の脱炭素を追っている。開運会社によるグリーンボンドの発行も増えており、港湾施設に絡んで国がお墨付きを与える認証制度は有効となる。国内の主要港湾では茨城県が3月末に、茨城港と鹿島港での脱炭素化の推進計画を全国で初めて策定した。洋上風力発電を導入するなどしてCO₂排出量を30年までに13年比で46%減らす。東京港、横浜港、大阪港なども策定を進めている。脱炭素化は港湾の国際競争力を高める観点でも重要となっている。