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「脱ゴミ社会」自治体挑む

年2兆円、処理費減めざす

全国のごみ処理費は年間2兆円を超える。増加傾向にあり10年前に比べ10%増えた。人口減の進展に伴う担い手不足の懸念も強まっている。財政も厳しさを増す中、持続可能な地域を築くためには排出削減への戦略的な施策が欠かせない。企業が環境意識を高める中、先進的に取り組む自治体では新たな産業を呼び込むなど、活性化にも寄与し始めた。環境省が3月にまとめた一般廃棄物の実態調査(2019年度)によると、1人1日あたりの排出量は918㌘。都道府県で最小は長野県で816㌘だった。京都府836㌘、滋賀県837㌘が続く。長野県は800㌘以下に減少させる目標「チャレンジ800」を策定。啓発を進め、14年度以降、日本一を維持する。全77市町村のうち60がゴミ袋を有料化。記名式に踏み込んだ自治体も同じく60あった。自治体のごみ問題に詳しい山谷修作東洋大名誉教授は「有料化や記名式はコストの可視化や排出責任の明確化につながり原料への動機づけになる」と指摘する。全国自治体で一番排出量が少ない川上村は、可燃ごみの40%を占める生ごみの回収を一切せず各家庭で堆肥化する。生ごみは水分含有率でも自治体を悩ませる。そのままでは焼却炉の温度を下げてしまい、ダイオキシン発生を誘発。一方で、温度を維持しようとすると、燃料費がかさむ。財政難から3基の焼却炉すべてを耐用年数を超えて運用する上田市は生ごみ出しません袋の無料配布を始めた。

食物残渣処理費用が経営を圧迫

減量のメリットは処理費用にかかるケースが多い事業者にとっても大きい。東京都多摩市は15年「利益率5%の事業者が50万円のもうけを出すには1,000万円の売上増が必要」と具体例を挙げて可視化。売上確保同様、廃棄処理の方法そのものの施策が必要である。環境負荷低減が世界的な要請となる中、取り組みは活性化にも直結する。徳島県は全国に先駆け、焼却・埋め立てごみをゼロにする宣言を行った。焼却炉は00年、ダイオキシン類対策特別措置法の基準を満たさなかったことを機に廃止。環境都市としてブランド力が高まっている。

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