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循環経済(サーキュラーエコノミー)について有識者に聞く

循環経済(サーキュラーエコノミー)

世の中における循環経済(サーキュラーエコノミー)への関心の高まりを受け、今回は脱炭素と循環経済の関係性や、国内外の取組について、国立環境研究所の田崎智宏氏に解説していただきました。(環境省記事抜粋)

 

 

まずは、廃棄物が排出された後でどのように処理すべきかを考える、3R(リユース・リデュース・リサイクル)を基にした考え方です。一方で、この考え方はサーキュラーエコノミーの特徴を十分に捉えられていないと私は考えています。

より発展した考え方として、3Rの取組に加え、資源の投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものというものがあります。「付加価値を生み出す」という考え方が入っていることがポイントであり、こちらの考え方が主流になりつつあります。さらに、「資源の消費の最小化」、「廃棄物の発生抑止」に加えて「環境負荷の低減」を明確に含むかどうかで意見が分かれます。EUや中央環境審議会では「環境負荷の低減」まで含めて考えています。ここで重要なのは、循環経済の実現とは、これまでの調達、生産、消費、廃棄といった流れが一方向の線形経済(リニアエコノミー)を新しい経済に転換するという、大きく経済・社会を変えていく取組であるということです。

循環経済との関係性について

例えば、国連環境計画(UNEP)が「トリプル・クライシス」として提唱した「気候変動」、「自然・生物多様性の損失」、「環境汚染」という3つの危機が国際的に認知されています。
また、2024年9月に予定されている国連未来サミット(Summit of the Future)でも人類が複数の危機に直面していることが挙げられており、世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書(2024)」でも今後10年の上位10項目のうち5項目が環境問題、上位5項目のうち4項目が環境問題と、環境問題の重要性の認識が高まっています。

このように、1つの問題を解けばよいということではないという理解が世界的に広がりつつあります。
日本でも検討が進められている(2024年2月時点)新しい環境基本計画案「第六次環境基本計画(案)」の概要「第六次環境基本計画(案)」の本文の中で、「複合する危機に対応し、諸課題をカップリングして解決する」「諸政策の統合・シナジーが不可欠」などと述べられています。循環経済と脱炭素とは両立するところも多いです。循環型社会の実現は、資源の採掘から加工、廃棄に至るライフサイクル全体の脱炭素化にもつながり、日本の温室効果ガス排出量のうち資源循環が貢献できる余地がある部門由来の排出量は約36%に上るとの試算があります。国際資源パネルが2024年3月に発表した最新の報告書によれば、世界の温室効果ガス排出のうち、資源の採掘から生産・加工による割合は約半分であるとしています。資源を効率的に生産していくことなどによって、この部分の排出削減に貢献できる余地があります。

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