「食品ロス」ゼロを考える
重量で家庭ごみの半分近くを占めるのが食品ごみです。中でも食べられるのに捨てられる「食品ロス」は問題です。農林水産省によると家庭から年間約290万㌧、事業・産業から約360万㌧、合計約650万㌧発生しています。これは国連世界食糧計画(WFP)による食料援助の倍に相当します。もったいないごみの象徴であるだけでなく、将来の世界人口増加や気候変動による食料危機を考えると、持続可能性を脅かす元凶です。国連が定めたSDGsでも、食品ロス削減は重要目標です。世界の動きも速く、多くの選考行事例がみられます。中国が進める独自の厳しくユニークな施策も注目されています。明らかな社会問題で、すぐに解決できると思うかもしれません。しかし、「中身」を調べると簡単ではないことがわかります。事業・産業系の食品ロスも課題です。先進事業者の認定・推奨制度やIoTを活用した需要予測システム導入、商習慣見直しのほか、消費者に対しても期限が近い商品の購入呼びかけなどが進められています。対策の多くは試行錯誤中で、効果が現れるまでには時間を要します。
出典:日本経済新聞 京都大学准教授 浅利 美鈴 コラム引用